12年前に記録したブログ記事「火災保険【60万安くなった】ポイント」を、物流職らしく、「棚卸」してみました。

当時の記録によると、住宅ローン契約時に銀行から提示された火災保険の見積額は、保険期間35年で約120万円と非常に高額でした。物流に例えるなら、標準パレットに載せるべき荷物が過積載になっている状態です。自分の庫腹(マイホームの実態)に合わせて積み荷を精査し直すことで、最終的には65万円までコスト削減することができました。
今回は、実際の考え方や方法を、マイホームや火災保険の現状とあわせて紹介していきます。
マイホーム購入と火災保険
マイホーム購入という人生最大級の投資において、火災保険は欠かすことのできない要素です。これは自己防衛のために万が一の事態に備えるだけでなく、住宅ローン利用時には担保物件の価値を保全するという銀行側のリスクヘッジの意味も含まれます。そのため、基本的には住宅ローン契約には火災保険加入が必須条件として組み込まれており、実際に多くの場合、銀行が火災保険の見積もりを提示して契約者に提案します。
9割の人が、銀行が提示した見積もりに手を加えずに火災保険を契約しているという事実
ソニー損害保険株式会社の調査によると、火災保険に加入している家庭のうち、補償内容を深く検討せずに加入した人は約9割(85.8%)。さらに、加入中の補償内容を完全に把握している人は約1割(13.5%)にとどまるという結果が出ています。(出典:ソニー損保の火災保険)
つまり、ほとんどの家庭が「銀行や不動産会社のテンプレ」のまま、自分に合っているかどうかも分からないまま、長期間にわたって保険料を払い続けているのが現実です。
銀行が提示する見積もりは機械的に算出されたもの
なぜ、これほど多くの人が『テンプレ』のまま契約してしまうのでしょうか。
その理由は、銀行が提示する見積もりの仕組みにあります。銀行が算出する建物評価額は、個別の家のこだわりや建築原価を反映したものではなく、主に構造や面積から算出される『統計上の標準コスト』に基づいていることが多いからです。
銀行にとっては『ローンの担保として不足がないこと』が最優先。そのため、立地リスクや個人の事情を考慮した精査よりも、リスクを広めにカバーした『最大公約数的』なプランが提示されやすい構造になっています。これはほとんどの住宅の条件をカバーしているため必要な補償がそろっている、
つまり、提示された見積もりは『あなたのための最適解』ではなく、あくまで『銀行が安心するための叩き台』に過ぎないのです。
ソニー損害保険株式会社の調査によると災害リスクがあるにもかかわらず補償をつけていない“補償不足”の家庭は全体の35.4%、災害リスクが低いにもかかわらず補償をつけている“補償過剰”の家庭は全体の35.9%。
“補償過剰”の項目を見直すことで、保険料を節約できる可能性がある家庭は約4割(35.9 %)にのぼるという調査結果が出ています。(出典:ソニー損保の火災保険)
火災保険の見直しは、保険料の節約だけでなく、マイホームや大切な家財を万一の事態から守るために、必要な補償が適切に備わっているかを確認するという重要な意味を持っています。
火災保険見直しのポイント
私の12年前の記録では火災保険見直しについて4つのポイントに分けて説明していました。

1.保険期間
当初の見積では保険期間を35年から30年に短縮しました。これは総額を抑えるための変更でしたが、実際には35年契約の方が年額換算で割安でした。現在は契約期間が最長5年に短縮されていますが、最長期間を選択することで割引率を最大化できます。保険会社によって差はあるものの、年額換算では5年契約と1年契約で約10%〜15%の保険料差が生じるとされています。さらに、契約期間中は値上げの影響を受けず、5年間は見直しの手間が不要といったメリットがあります。

保険期間は長いほど割引率が高くなります。当時(2014年)は最大36年まで長期契約を結ぶことが可能でした。しかし自然災害の激甚化に伴うリスク予測不能化を理由に、2015年には最大10年、2022年には最大5年と契約期間が大幅に短縮されました。この短縮は実質的な値上げに繋がり、2015年に10年契約を結んだ人が更新を迎える2025年以降、保険料負担の増加が懸念されています。
2.建物・家財評価額
建物評価額は保険料を決めるうえでとても大切なポイントです。注文住宅なら実際にかかった建築費を基準に設定するのが基本です。私のように建売の場合は、デベロッパーに確認するか、路線価や実勢価格から土地の価値をざっくり計算し、総額から差し引いて建物の概算価値を出しました。算出した金額が実際より高くても安くても、実情に合わせて調整することが大切です。(土地の価値についてはこちらの記事も参考にしてください→「固定資産税評価額と売却価格、その差の真実|一物四価ではなく「5段階」で考える」)
家財評価額は、多くの場合、銀行が家族構成などの基準表に基づいて設定します。家財保険は実際に損害が出た金額が保険金として下りることになります。その上限額を決めるという考え方になります。つまり家財保険1000万としていても実際の家財の総額が500万であれば全損しても500万までしか保険金は下りません。実際にどの程度の金額が必要かを概算でも算出し、その結果を基準として生活スタイルに適した評価額を設定することが望まれます。
私は土地の価値から建物の概算価値を割り出し、家財は必要最低限の金額を家族で相談して評価額を算出。その結果、建物は1500万円→1300万円、家財評価額は500万円→200万円まで下げました。
3.補償内容/特約など
マイホームのリスクを適切にカバーできているかを確認することは重要です。そのうえで不要な補償を外すことで、保険料を抑えることが可能です。私は自治体が公開する災害記録や浸水記録を確認し、浸水被害のリスクが極めて低いと判断して水災補償を外しました。また、法的責任のない類焼損害特約も除外しました。この他にも細かな特約の内容については、FPに相談しながら一つずつ判断した記憶があります。
4.建物の耐火性能
耐火性能は3段階あります。
・M構造:コンクリートやレンガなど耐火性能に優れた素材で造られた共同住宅(マンションなど)のことを指します。耐火性能が高いため、保険料も比較的低く設定されます。建物の主要部分に耐火性の高い素材が使われていることが条件です。
・T構造:耐火性能に優れた建材を使った一戸建ての住宅で、鉄骨造やコンクリート造、省令準耐火構造も含まれます。素材はM構造と同じでも、共同住宅ではなく独立した住宅ならT構造に分類されます。保険料はH構造よりもやや安く設定されています。
・H構造:H構造は、木造や土造など耐火性能が低い建物で、T構造やM構造に分類されない住宅を指します。火災に弱く損害を受けやすいため、火災保険料は他の構造より高くなる傾向があります。一般的には、木造の一戸建て住宅(省令準耐火構造でない)が該当します。
マイホームの構造がどれに当てはまるかは必ず確認しておくべきです。我が家はH構造なので保険料が高めに設定されていますが、もしH構造の戸建てなのにT構造として見積もられていたら、割高な保険料を払い続けることになります。逆に、H構造なのに手違いでT構造として火災保険を契約していた場合は、告知義務違反などで万一の際に保険金が支払われない可能性もあります。
最終的には専門家と銀行によるダブルチェックを
銀行が見積もりを提示してくれたからといって、必ずしも銀行経由で契約する必要はありません。しっかり調べたうえで見積もり内容を自分なりに修正しましたが、保険のプロではないので、信頼できるFPに修正案を見せて見積もりをお願いしました。その結果、特約を少し調整してもらい、金額は銀行の団体割を適用したほうが安いと判断され、最終的に銀行経由で契約しました。
この時、もし銀行が必要とする補償や評価額に達しておらず、担保物件の価値を維持できないと判断されれば、契約内容の修正を求められることになります。つまり、銀行が受け入れるかどうかを確認することが、最終的な判断ラインを超えているかどうかのチェックにもなるわけです。
まとめ
12年前、30年分の火災保険という大きな契約を見直すことで、約60万円の節約ができました。当時は『調べれば当然やること』という感覚でしたが、9割の人が見直さないという現実を知り、この記録を残す意味を改めて感じています。今は最長でも5年契約です。だからこそ更新のたびに補償内容を丁寧に精査することが、家計の健全化と万一への備えを同時に実現する最も確実な手段だと考えています。



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