10年前の通知書に書いていたこと
12年前、マイホーム購入をきっかけにブログを書いていました。数年で更新が途絶えていましたが、最近読み返してみると、当時の税金や支出の数字が驚くほど詳細に記録されていました。
2015年4月、初めて届いた固定資産税の通知書を前に、私はこう書いていました。
戸建ての一般住宅なので3年間は税額の軽減があり年間96400円でした。3年たつと150000円になります。建物に関しては月日が経てば経年減点補正率というものがかけられ安くなっていきます。けど0にはなりません・・・
※当時の記事はこちら

新築特例が切れる3年後のコスト増ばかりを気にしていた当時の私。当時の漠然とした不安が記事に表れています。
10年後の答え合わせ
2025年度の通知書を手にして、10年前と比較してみました。
建物の評価額は経年劣化により着実に下がっていました。これは想定通りです。
一方、土地の評価額は10年前から約1.48倍に上昇していました。
固定資産税評価額はあくまで課税上の数字です。実際の市場価格(実勢価格)を把握するため、近隣の売り出し物件を不動産サイトで確認してみました。
最寄り駅から徒歩3〜7分圏内では、坪単価45〜50万円超が相場。この数字をもとに自宅と実家の土地価値を試算すると、現時点での価格はこうなります。
| 物件 | 面積 | 現在の推定価格(坪45万円) |
|---|---|---|
| 自宅 | 190㎡ | 約2,590万円 |
| 実家(賃貸中) | 272.6㎡ | 約3,710万円 |
| 合計 | 462.6㎡ | 約6,300万円 |
固定資産税評価額(自宅692万円・実家1,012万円、合計1,704万円)と比べると、実際の市場価格は約3.7倍。通知書の数字がいかに実態と乖離しているかがわかります。
※一物四価の詳しい仕組みについては[こちらの記事]でも解説しています。
月65,000円の「質」が変わっていた
以前住んでいた賃貸アパート(最寄り駅から徒歩30分・2LDK)の家賃は、駐車場込みで月約65,000円でした。
現在のマイホーム(最寄り駅から徒歩3分)のローン返済も、繰り上げ返済を経て月約65,000円。
支払う金額はほぼ同じです。しかし10年後の景色は決定的に違います。
| 10年間の支払 | 手元に残る資産 | |
|---|---|---|
| 賃貸 | 約780万円 | 0円 |
| 持ち家 | 約780万円 | 土地だけで約2,590万円 |
「消えるコスト」が「積み上がる資産」に変わっていました。利便性が劇的に向上した上で、です。
ただし正確を期すために補足します。現在のローン残債は約1,620万円。土地価値2,590万円との差し引きで、純資産ベースでは約970万円のプラスです。賃貸の「資産0円」と比べれば、同じ月額を払いながら約970万円の差が生まれていた計算になります。
意図せずガチホしていた土地という資産
調べてみると、この10年間でこのエリアの地価は約40%上昇していました。
投資の世界で「ガチホ(ガチでホールド)」という言葉があります。値動きに動じず長期保有し続けること。優良株を10年ガチホすれば複利で大きなリターンが得られる、という戦略です。
私はそれを土地でやっていました。しかも意図せずに。
| 10年前の推定価格 | 現在の推定価格 | 含み益 | |
|---|---|---|---|
| 自宅(190㎡) | 約1,850万円 | 約2,590万円 | 約740万円 |
| 実家(272.6㎡) | 約2,650万円 | 約3,710万円 | 約1,060万円 |
| 合計 | 約4,500万円 | 約6,300万円 | 約1,800万円 |
10年間で約1,800万円の含み益。年率換算すると約3.5%のリターンに相当します。住みながら、家賃を払わずに、です。
配当株のガチホと構造は同じです。ただし不動産の場合、住居という実用的な価値も同時に享受できる点が違います。
もちろん不動産は流動性が低く、売却まで利益は確定しません。また地価は今後も上昇し続けるとは限りません。あくまで現時点での含み益という前提で読んでください。
投資のつもりはなかった。ただ「5つの条件」で選んだだけだった
当時の私に不動産投資の意識はほとんどありませんでした。ただ「家族が快適に暮らせる場所」を探す中で、5つの条件を自分なりに決めていました。
① 駅近であること
誰もが思いつく条件ですが、駅距離は不動産価値に最も直結する要素です。現在の自宅は最寄り駅まで徒歩3分。この条件だけで10年後の資産価値が大きく変わります。
② 周辺に坂道がないこと
当時、子供たちはまだ未就学児でした。自転車に乗れるようになったときの生活の便利さを考えてのことです。フラットな地形は高齢者や車椅子利用者にも住みやすく、幅広い世代の需要を集める条件でもあります。
③ 小学校まで安全な通学路があること
徒歩10分以内で、国道や2車線車道を通らずに住宅地だけを歩いて通学できる経路があること。子育て世代が長く住み続けたいと思う環境は、エリアの住宅需要を安定させます。
④ 自然環境と周辺施設の充実
海が近く、大型の運動公園も徒歩圏内にあります。子育て世代にとって自然環境の豊かさは大きな魅力です。住み替えが起きにくい環境は、地価の安定にもつながります。
⑤ 都心への複数のアクセスルート
博多駅まで電車で約30分、天神までバスで約30分。さらに車通勤では渋滞を避けられる複数のルートがあります。物流の仕事で培った「ルートの多様性はリスク分散」という感覚が、住まい選びにも働いていたかもしれません。アクセスの多様性は、様々な働き方・生活スタイルの人が住めることを意味します。
これらは不動産投資家が物件選びで使う「立地チェックリスト」と、結果的にほぼ一致しています。投資の知識がなくても、「家族が快適に暮らせる場所」を真剣に考えた結果が、10年後の資産価値につながっていました。
2015年の不安が、2025年の証明書になった
2015年の私は「税金が5万円上がる」ことに怯えていました。
10年後の私は、固定資産税の通知書を「自分の選択が正しかったことを証明する成績表」として受け取っています。
物流の現場で業務フローを構築する際、各工程の効率をバランスよく配分することが求められます。人員と設備が限られている以上、全ての工程を同時に最大効率にすることは不可能です。どこに優先度を置くかという判断が、全体の収益を左右します。
土地選びも同じだと思っています。駅近・通学路・自然環境・アクセス性、すべてを完璧に満たす物件はありません。限られた予算の中で自分の生活条件に合わせて優先順位をつけること。その判断の積み重ねが、長期的な資産形成につながると考えています。
マイホームは単なる消費ではありません。正しい立地を選べば、それは家族を守りながら静かに増え続ける資産になり得ます。



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