■ 消費増税のタイミングに家を買った
2014年4月、消費税が5%から8%に引き上げられました。住宅という高額な買い物において、増税は直接的なコスト増につながります。私がマイホームを購入したのは、まさにそのタイミングです。
「増税直後に家を買うなんて損では?」と思われるかもしれません。しかし結果として、その判断は悪くありませんでした。むしろ増税後だったからこそ得られたメリットがありました。
■ 駆け込み需要側に潜むリスク
増税前には必ず「駆け込み需要」が発生します。住宅市場も例外ではなく、2014年3月末にかけて契約・引き渡しが集中しました。
しかしこの局面には見落とされがちなリスクが潜んでいます。
需要が集中する時期は供給側も限界に近い状態で動きます。施工品質の低下、納期の遅延、そして便乗値上げ。売り手市場になるほど買い手の交渉余地は狭まります。近年の物価上昇局面でも同様のパターンは繰り返されており、駆け込みの判断が必ずしも有利とは言えない場面が増えています。
物流現場で言えば、年末の繁忙期に無理やり出荷を詰め込んだ結果、ミスが増えてクレームが発生するのと同じ構造です。急いだことで却ってコストが上がる。
■ 逆風局面に支援が集まる構造
増税後には必ずと言っていいほど、需要冷え込みへの対策として政策的な支援が打ち出されます。これは偶然ではなく、政府が経済の急激な収縮を避けるために取る定番の動きです。
企業側も同様です。需要が落ちた局面では、顧客を引き留めるために価格を抑える努力をします。デベロッパーも例外ではなく、私が購入した物件では増税による価格上昇が実感できませんでした。販売側が利幅を削って価格を維持していた可能性が高いと今でも考えています。
つまり逆風局面では、政策と市場の両方から「追い風」が生まれやすい構造があるのです。
■ 実体験:すまい給付金20万円を受け取った話
消費税8%への増税と同時に始まったのが「すまい給付金」制度です。住宅取得者の負担軽減を目的とした給付金で、所得に応じて最大30万円が給付されました。
この制度には一つ重要な落とし穴がありました。給付の判定基準が「税込年収」ではなく「都道府県民税の所得割額」だったのです。
当時の私の税込年収はHPで示されている基準額をわずかに超えており、公式サイトの年収の目安だけを見れば対象外に見えました。しかし実際に課税証明書を取り寄せて所得割額を確認したところ、20万円の給付対象に該当することが分かりました。
申請の結果、20万円が振り込まれました。
年収の目安だけで諦めていたら、受け取れていなかった給付金です。「自分には関係ない」と思い込まず、実際の判定基準を確認することの重要性を実感した経験でした。なお、すまい給付金制度は2023年度をもって終了しています。
■ 現在も続く住宅取得支援制度
すまい給付金は終了しましたが、住宅取得に関する支援制度は形を変えながら継続しています。現在は子育てエコホーム支援事業や給付型の補助金制度が設けられており、省エネ性能の高い住宅取得を対象とした支援が中心です。
また自治体によっては国の制度とは別に、移住促進や子育て支援の観点から独自の補助金を設けているケースもあります。
住宅取得を検討する際は、国土交通省の住宅支援制度に関するページで最新情報を確認することをお勧めします。制度の内容や要件は年度によって変わるため、購入を決める前に必ず確認しておくべきポイントです。
■ 同じ思考の応用例
この「逆風局面にこそ支援と機会が生まれる」という視点は、住宅購入に限った話ではありません。
例えば現在議論されている食料品への消費税軽減税率(いわゆる消費税0%案)。もしこれが実現した場合、外食産業は軽減税率の対象外となり表面上は不利な立場に置かれます。しかし外食産業への影響が大きいほど、政策的な支援や業界側の価格努力が生まれやすくなります。さらに競合が体力を失う局面では、資本力のある企業にとって拡大のチャンスにもなり得ます。
逆風を正面から受け止めて撤退するのではなく、その局面で何が生まれるかを読む。これは商売で成功している人たちに共通する思考パターンでもあります。
■ まとめ
消費増税のタイミングに住宅を購入した経験から言えることがあります。不利に見える局面には、支援と機会が集まりやすい構造があります。
駆け込み需要の局面では市場が売り手優位になり、便乗値上げや品質低下のリスクが高まります。一方、需要が冷え込んだ局面では政策支援が打たれ、企業も価格を抑える努力をします。
「みんなが動いている方向と逆を見る」という習慣が、資産形成においても判断の精度を上げると私は考えています。もちろんすべての逆境がチャンスになるわけではありませんが、不利な状況を単純に避けるだけでなく、その局面に何が生まれるかを考える視点は持っておく価値があります。



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