変動か固定か。「なんとなく」で決めなかった住宅ローン|11年後の検証

不動産・実家賃貸

変動か固定か。誰もが悩む問いに「なんとなく」で答えなかった

2014年、マイホームを購入する際に最初に直面したのが住宅ローンの金利タイプ選択でした。当時の選択肢はざっくり2つです。

フラット35:固定金利1.7%、団信別で月々約79,000円

変動金利:0.975%、団信込みで月々約70,280円

月9,000円近い差。しかし私が最終的に変動を選んだのは「金利は上がらない」と決めつけたからではありません。シミュレーションを繰り返した結果、ある戦略が見えてきたからです。

センター長メモ
センター長メモ

フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利の住宅ローンです。金利が返済終了まで変わらないため、長期的な返済計画が立てやすいのが特徴です。詳細は住宅金融支援機構の公式サイトでご確認ください。


「変動で借りて、フラットのつもりで払う」という発想

変動金利を選んだ以上、金利上昇リスクへの備えが必要です。そこで考えたのが逆転の発想でした。

変動金利で借りながら、毎月の支払はフラット35を選んだつもりで続ける。

具体的にはこうです。変動の月々の返済は70,280円ですが、フラットなら約79,000円。この差額約9,000円を毎月繰り上げ返済に充てます。さらにボーナス月には20万円を上乗せし、年間約50万円の繰り上げを続けます。

この設計には2つの意味があります。

金利が上がった局面では繰り上げ返済額を減らすことで対処できます。フラットを選んでいたつもりの金額を払っているので、多少の金利上昇では家計への影響を吸収できます。金利が上がらなければ繰り上げ効果がそのまま利息削減につながり、総支払額をフラットより大幅に減らせる可能性が高い。

つまりこの戦略は「最悪でもフラット相当の支払で済む、うまくいけばそれより得する」という設計です。


「期間短縮型の方が得」は、本当に正しいか

繰上げ返済の方法について、ネットでよく見かける「期間短縮型の方が利息削減効果が高い」という定説を一度検証してみました。返済額軽減型と期間短縮型で同額を一度に繰上げ返済した場合、基本的には期間短縮型の方が利息削減効果が高いことは事実です。しかし、実際にシミュレーションを行ったところ、特定の条件下では返済額軽減型と期間短縮型の総支払額がほぼ同額になることが分かりました。

今回のシミュレーション条件

返済額軽減型

月々の返済額に毎月1万円を上乗せ、ボーナス月(7月・12月)に20万円を繰り上げ。返済額が軽減されるごとに上乗せ額を増やし、月々の実質負担を一定に保つ。

期間短縮型

毎年8月に50万円を一括繰り上げ返済。


この条件で約23年間繰り上げ返済を続けた場合の総支払額は以下の通りです。

返済額軽減型:約27,591,527円

期間短縮型:約27,615,180円

差額:約23,000円

総支払額の差はわずか約2万3千円。ほぼ同じと言っていい結果です。

センター長メモ
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理論上、同じペースで元金を減らし続ければ返済額軽減型と期間短縮型の総支払額は一致します。今回のシミュレーションで生じた約2万3千円の差は、繰り上げ額を1万円単位で設定したことによる端数の誤差です。なお返済額軽減型は月々の返済額が下がるたびに繰り上げ額を増やすため、繰り上げ返済の累計金額は期間短縮型より大きくなります。

総支払額が変わらないなら、柔軟に対応できる返済額軽減型の方がメリットは大きいと判断しました。急な出費、収入の変化、金利の上昇。どんな局面でも繰り上げ額を調整することで対処できる余地が残ります。

11年後の現実

あれから11年が経ちました。その間、日本の金利は動きました。変動金利を選んだことへの不安が現実になった局面です。

しかし現在の月々の返済額は65,000円に抑えられています。返済額軽減型で繰り上げを続けてきた結果、金利上昇の影響を吸収できる返済設計になっていました。

そして現在、繰り上げ返済は中止しました。

65,000円という返済水準であれば、無理に返済を急ぐより投資に回す方が合理的と判断しのが理由です。住宅ローン金利より高い利回りが期待できる局面では、手元資金を運用に回す方が資産形成の効率が上がります。

「どちらが正しいか」より「なぜそう決めたか」

変動を選んだことが正解だったかどうか、今でも断言はできません。フラットにしていた方が良かったという局面もあったかもしれません。しかし11年前の自分が「なんとなく変動」でも「なんとなくフラット」でもなく、シミュレーションを繰り返して判断の根拠を作ったことは、今でも正しかったと思っています。

根拠のある判断は、状況が変わっても次の手を打てます。なんとなくの判断は、想定外の局面で立ち往生します。住宅ローンという30年以上に及ぶ判断において、最初の設計思想がその後の対応力を決めます。

物流現場で言えば、最大積載量ギリギリで運ぶのではなく余裕を持たせた積載設計をする感覚です。余裕があるから、突発的な追加荷物にも対応できる。住宅ローンの返済設計も同じで、最初から「対処できる余白」を組み込んでおくことが長期運行の安定につながります。

「変動か固定か」の答えは人それぞれの家計状況やリスク許容度によって異なります。この記事が住宅ローンの金利タイプで迷われている方の判断材料の一つになれば幸いです。

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センター長

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